(永山祐子/建築家・永山祐子建築設計)

建築家の妻と娘目線。この視点は新しい!読みやすくてとても良かったです。

(石川初/ランドスケープ・アーキテクト)

これは素晴らしい。田中さん文章がうまい。心から推す。あまりのことに、妻に見せたくない。隠しておこう。

(吉田研介/建築家・吉田研介建築設計室)

「建築家が建てた母と娘の幸せな家」という本が出ました。5,6年まえから雑誌「ミセス」で連載していたものを単行本にしたものです。文章は田中元子さん。これまでも彼女のことはコラムでも書きましたが、実に素敵な女性。そして文章が抜群。というより書く内容が、唸らせます。文章の技術もさることながら、着眼がよく内容の掘り下げが、短い中で見事なのです。此の本は、建築家の自邸を訪ね、奥様か娘さんに会って話をする、その記録なのです。たぶん2時間くらいでしょうが、その中から自分が組み立てようとする内容のエッセンスのみを抜き出して、短い文章にまとめています。建築家は出てきません。大げさに言うと、これを読んでいると、住宅を作っていた姿勢まで揺さぶられるような感じがします。つまりおさまりとかディテールとかプロポーションとか空間とか形態とか、勿論これらが必要なことは承知の上で、ここでは、その生活の仕方や家族関係や生き方や、それらのオンパレードに「住宅ってなに?」とあらためて考えさせられるのです。読んでいると、田中元子さんの文章つまり彼女の見方であるのに、ふと、住人や建築家や、この家自体が語っているような錯覚を覚えます。で、それは住宅の本質に迫っているように思えます。白い壁に窓をどう開けようかとか、奇抜な形態で雑誌に売り込もうとしている住宅作家は、一度立ち止まって読んでみることを薦めます。

(倉方俊輔/建築史家・大阪市立大学大学院准教授)

クスリと微笑みながら、女ってカッコいいなあ、男ってカッコいいなあって改めて思わされる。1910年代生まれから70年代までの年代順の構成から家族のあり方の変化も見えてくるようで、軽快で深い、今まで無かった本。

(猪熊純/首都大学東京助教・建築家・成瀬・猪熊建築設計事務所)

建築は、建築のことを知らない人たちのためにある、という当たり前のことを気づかせてくれる、素敵な本です。共感。

(松川昌平/建築家・000studio・慶應義塾大学SFC専任講師)

一緒に事務所をシェアしてたころから「専門家だけでもそれ以外の人だけでもなく、その両者のパイプ役になって、大好きな建築の世界の役に立ちたい」というもっちゃんの気持ちは変わらない。多くの人に読まれますように!

(池田晃一/東北大学助手)

田中元子さんの『建築家が建てた妻と娘のしあわせな家』がとても良い内容で元職場で配って歩きたい所存だ

(松田達/建築家・東京大学助教・松田達建築設計事務所)

大御所から若手まで、36軒もの建築家自邸を、妻と娘という視点から紹介。外部から建築の世界に入った田中さんだからこそ書けるこの視点は、とても新鮮。読みやすい!

(浅子佳英/建築家・タカバンスタジオ)

いままでにない切り口でとてもいい本でした。奥さんや娘さんが非常にいい顔をしているのも印象的。欲をいえば、もっと写真も見たいし文章もこの倍ぐらいは読みたい所だけれど、それは上手くいっていると証拠かなと。ともかく、オススメです。

(山梨和彦/建築家・日建設計建築部門代表)

建築とは全く無縁な妻と娘が夜遅くまで見入っていました。

サンプルページ

書籍を開くと、こんな感じで36の自邸コラムがはじまります。

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はじめに



 この本は、2009年4月から3年に渡り、雑誌『ミセス』(文化出版局)に連載したコラム「妻、娘からみた建築家の実験住宅」(監修:真壁智治)をまとめたものです。建築家が設計した建物のほとんどは、建築家によって語られます。しかしこのコラムでは、建築家自身は脇役です。住み心地やそこでの暮らしについて、本当のところはどうなのか、奥さんや娘さん、ご家族にお話を伺っています。専門家の目線は、ほとんど出てきません。


 建築って難しいと思いますか。建築家って、気難しいと思いますか。この本の中では、一旦そうしたイメージを、隅に置いてみてください。単純に好き、嫌い、かわいい、カッコいい、まずそんなふうに、あなたの気分で気軽に楽しんで頂けると、嬉しいです。ましてや、ここに登場する家の空気感や人物像みたいなものにまで、自由気ままに思いを馳せて頂けたら、本望です。


 どんなことでも、好きになるきっかけは、主観が揺れる瞬間だと思います。こころをゆるりと解放して本書と付き合って頂けたら、と思うのです。私は、ひとりでも多くの人に、建築を好きになって欲しいと思っています。

どんな建築家の自邸が登場するの?



 この本には、実にさまざまな建築家の皆さんの自邸が登場します。昭和の名作と呼ばれたものから、巨匠建築家でありながら自邸はあまり知られていなかったもの、また数年前に竣工した自邸まで、本当にさまざまです。どの家もどのご家族も、すべてまざまざと覚えています。自邸を訪れたというよりも、触れた、というほうが、ずっと正しいような感覚で、その肌触りを少しでもお伝えできる一冊になっていたらなぁ、と思っています。全36軒を下記にリストにしてまとめてみました。(*いくつか冒頭の文章を少しだけ公開)この先が、気になった方はぜひ、書籍を手に取ってみてください。

01.大らかに受け入れる小さな家
「私の家」清家清さんの自邸


02.端正な空間と身体がよろこぶ気持ちよさ
「自邸」槇文彦さんの自邸


03.そこは帰りたくなる場所
「スカイハウス」菊竹清訓さんの自邸

「スカイハウス」は戦後屈指の住宅作品だ。多くの人がここに憧れ、畏怖にも似た尊敬の念 を抱いている。それは竣工当時このような姿の家があまりに革新的であっただけではなく...



04.都会の真ん中に建つ家族の長屋
「塔の家」東孝光さんの自邸


05.道具のように、住みこなす家
「チキンハウス」吉田研介さんの自邸

「チキンハウス」とは英語で自邸を謙遜して言う、拙宅の意だ。吉田研介さんはこの自邸の設計にいて 、雑誌や書籍などで度々「謙遜をどう建築化するか」がひとつのテーマであったと語っている。一体どういうことだろう。...



06.時が育てた実生の家
「新座の家」益子義弘さんの自邸


07.蓄積が活きる、新たな暮らし
「下里の家」永田昌民さんの自邸

永田さん一家が 年近く暮らした家は、永田さんが 歳の若さで、建築家として2作目の仕 事として設計したものだった。「下里の家」はそれから約170作もの経験を経た2003年に 建てらえた。居を移して6年になるが...



08.あなたと暮らす、やさしい住まい
「相模原の住宅」野沢正光さんの自邸


09.少年の夢が描いた大人の家
「タンポポハウス」藤森照信さんの自邸

屋根にタンポポを咲かせたい。それも外来種でなく、在来種を。 年前、建築家、藤森照信 さんは自邸「タンポポハウス」の設計にあたり、タンポポ集めに奔走した。しかし黄色の花が この家を彩ったのは...



10.生命の循環を受け入れる場所
「住居No1共生住居」内藤廣さんの自邸


11.わかりやすさと暮らす家
「のこぎり屋根の家」手塚貴晴さん、手塚由比さんの自邸


12.実験的な二拠点生活
「房総の馬場家」馬場正尊さんの自邸

抜けるような白さに、ピシャリと水平が際立つ直線的な外観。無機質に感じられるほどス トイックなその佇まいとは裏腹に、馬場正尊さん一家とは何とも人間くさい波乱のプロセス を経て、「房総の馬場家」にたどり着いた。その一部始終を...



13.天地の恵みを映す家
「LOVE HOUSE」保坂猛さんの自邸


14.さまざまなくつろぎをくれる家
「駒場の家」竹山実さんの自邸

60年代から70年代にかけて、どんな分野でも“ぶっとんでいること”が求められる潮流があっ た。竹山実さんはその頃、海外で培った知性と感性でもってアバンギャルドな建築をいくつも 手がけ、ポストモダニズムの旗手と言われた。当時の竹山さん...



15.家族の変化に挑むために
「北嶺町の住宅」室伏次郎さんの自邸


16.非日常に暮らす奇想の家
「クレバスの家」六角鬼丈さんの自邸


17.きらきらの夢の在り処
「宇宙を望む家」椎名英三さんの自邸


18.箱から家へと育てる暮らし
「箱の家112」難波和彦さんの自邸

「箱の家」とは、ちょっと無愛想な名前に聞こえるかも知れない。家をつくる人々はみな、住 まいというものを「地上に置いた箱」以上の何物かにしたくて、カタチをいじったりストーリー を投影させたりして、もがくものだ。しかし、箱なんか...



19.トンネルに箱ひとつだけの豊穣感
「トンネル住居」横河健さんの自邸


20.自立した大人のプラットホーム
「南麻布のリノベーション」北山恒さんの自邸


21.木と木の間に引かれた交差点
「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE」古谷誠章さんの自邸


22.てくてくと探し求めた暮らしの地
「小日向のすまい」堀越英嗣さんの自邸


23.不思議な箱に広がる景色
「KATA House」マニュエル・タルディッツさん、加茂紀和子さんの自邸


24.改築を重ねて「家」になった建築
「永福の住宅」堀場弘さん、工藤和美さんの自邸


25.ひとりひとりの活動を受け入れる家
「アシタノイエ」小泉雅生さんの自邸


26.ふるまいというデザインが握る鍵
「ハウス&アトリエ・ワン」塚本由晴さん、貝島桃代さんの自邸

27.コンテナにある「本当の生活」
「神宮前の住宅」フィリックス・クラウスさん、吉良森子さんの自邸

生活ってなんだろう。それは家事や仕事といった、自動的に続くルーチンワークを指すしか ない言葉なのだろうか。吉良森子さんは夫のフィリップ・クラウスさんと共に2ヶ月に一度...



28.家族を越えて、みんなで生きる
「foo」松野勉さん、相澤久美さんの自邸


29.大家族が暮らした包容力
「逗子新宿の家」長島孝一さんの自邸


30.日常の小さな夢と生きる家
「松原の家」内藤恒方さんの自邸


31.ゴロンと寝そべる浜辺のように
「町庭の家」片山和俊さんの自邸


32.次の暮らしに寄り添う家
「重箱住居」黒川哲郎さんの自邸


33.限られた環境にこそ開いた魅力
「国立の家」田中敏溥さんの自邸


34.試しながら住まう家
「 1×1 / 2×2 」川島茂さん、鈴鹿美穂さんの自邸


35.閉ざさず街へと広がる家
「ムサコハウス」山中新太郎さんの自邸


36.やわらかく包まれたリノベーションの家
「KCH」河内一泰さんの自邸








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著者略歴



田中 元子 ( たなか・もとこ )


建築コミュニケーター、ライター。1975 年茨城県生れ。高校卒業後、家出。様々な職種のアルバイトを経験したフリーター時代にスペイン人建築家カンポ・バエザの作品集に出会い、建築に惹かれる。以後、建築界の多様な人々とのコミュニケーションを介し、独学で建築を学び続けている。


2000年「同潤会青山アパートメント」の保存再生プロジェクト「DO+」共同主宰。一年間の ロンドン生活を経て、2004年 mosaki 共同設立、“一般の人々と建築と建築の世界をつなぐ”ことをモットーに活動を始める。 本業の傍ら2010年より身体を動かして建築を学ぶ「けんちく体操」の活動に参加。同活動で、2013 年日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞。2014 年建築 系タブロイドマガジン『オウサム!』を創刊。


主な連載に『 mosaki のイベント巡礼』(日経アーキ テクチュア)など。主な執筆に建築家の絵本シリーズ『くうねるところにすむところ』(平凡社)の解説文など。また執筆のみならず、司会、プロデュース、イベント企画など、その活動は多岐に渡る。


http://mosaki.com

クレジット



書籍名「建築家が建てた妻と娘のしあわせな家」
発行:2014年8月8日


著:田中元子(mosaki)
写真:野寺治孝
編集:大西正紀(mosaki)
アートディレクション:古平正義


発行者:澤井聖一
発行所:株式会社エクスナレッジ